海外で生活する上で欠かせないのが、現地での銀行口座です。
日常欠かせないものだからこそ、ドイツ国内の多くの銀行でもいわゆる普通預金口座(Girokonto)は条件無しで口座維持費が無料でした。
…つい最近までは。
マイナス金利が長く続いていた2,3年ほど前から、銀行は利息をほぼ0%にし、ついには一定の条件を満たせない人に対して口座維持費を課すようになりました。
この一定の条件というのが、
・口座への入金額が毎月700ユーロ以上 または、
・口座名義人が28歳未満
の2つです。
ドイツ留学をこれから始める現役の大学生ならまだ年齢的に問題はないですが、28歳以上で700ユーロ程度のお金を毎月入金するには、給与受取口座として登録する他にあまり方法はないと思います。
まあ、銀行の狙いは動きの鈍い口座や休眠口座から収益をあげようという作戦だと思うのですが、社会人留学生には厳しい条件です。
さて、前置きが長くなってしまいました。
こんなご時世でも大丈夫。お金を一切かけずに銀行口座を維持する方法が2つあります!
今回は、ドイツ中の銀行が口座維持費を取り始めた今日でも、口座開設費・口座維持費永年無料の銀行口座を紹介します!
ドイツ国内では唯一?開設費・維持費無料の銀行 N26 Standardプラン
まず1つ目に紹介するのが、ドイツの新興オンラインバンクであるN26です。
N26はオンラインバンキングを専門とした比較的新しい銀行で2013年にサービスを開始したベルリンの銀行です。
口座開設費・維持費の完全無料を求めるならStandardプラン一択
N26は個人向け銀行口座プランとして4種類のサービスを展開していますが、この中で一切の維持費や口座開設費をゼロにできるのは、最も標準的なプランであるStandardです。
Standardプランは、銀行口座の開設と維持に特化したシンプルな口座となっており、一切のオプションサービスを省くことによって口座開設費・維持費が完全に無料となっています。
他の銀行口座で要求される月700ユーロ以上の入金や、口座名義人の年齢に一切関わらず、すべての人が無料で口座を開設・維持することができるサービスです。
そのため、N26 Standardは収入や年齢にとらわれない、万人向けの口座であるといえます。
極限まで簡素化しオンラインに特化したN26 Standardではキャッシュカードがない?
口座開設・維持費が永年無料のため、欠点とまでは言えないのですが、N26 Standardの口座開設では、キャッシュカードすらありません。
N26が提供している無料アプリ上のバーチャルカードを利用することとなります。
ただし、これでは出かけ先のATMなどで現金をおろすことができないなど問題もあります。
でも問題ありません。
キャッシュカードが必要な方は、10ユーロを支払うことでキャッシュカードを作ることが可能です。
また、支払いに関しては、Apple PayまたはGoogle PayとN26 Standard口座を紐づけることが可能なため、コンタクトレス決済が可能な場合、キャッシュカードを作る必要はありません。
ただ、そうは言っても10ユーロでキャッシュカードが発行可能なため、作っておいて損はないでしょう。
もちろんカード発行手数料の10ユーロは1回のみ。それ以外に維持費や年会費等は一切かかりません。
ドイツでも。日本でも。口座開設費・維持費ゼロで世界中で使えるwise
2つ目に紹介するのは、wise(旧Transfer wise)が展開する無料のアカウント(口座)です。
2011年にロンドンで創業して以来、海外送金サービスを主力に急成長を遂げた企業で、従来の送金サービスとは比にならないほど低い手数料での送金サービスを手掛けており、海外在住者にとってとても便利なツールとなっています。
このため銀行というよりは送金サービスプロバイダーというイメージが強いです。
しかし、wiseでもドイツで使える安心・安全な口座を開設することが可能です!(wiseでは口座のことをアカウントと言います)
送金サービスだけじゃない。口座開設費・維持費完全無料のwiseアカウント
wiseのアカウント開設(=銀行口座開設)はとてもシンプルで単純明快。
プランは個人向け、法人向けの2種類しかありません。
個人利用の場合はそのまま個人向けを選択するだけでOKです。
ちなみに、個人向けも法人向けもどちらも口座開設費・維持費はゼロです。
なぜwiseのアカウント(口座)がドイツの銀行口座として使えるのか?
wiseのアカウントを開設した場合、それはただの会員登録ではなく、IBANコードのついた口座が開設されます。
IBANコード(英語: International Bank Account Number)とは、銀行口座について、所在国、支店、口座番号を特定するための国際標準である。
引用元: wikipedia
wiseが提供するアカウントには、それぞれこのIBANコードが割り当てられているため、欧州(EU)域内で正式な銀行口座として利用することが可能です。
もう少し正確に言うと、wiseでは1つのアカウント(口座)で、日本円、米ドル、英ポンド、ユーロなど主要通貨を含む50もの通貨の取り扱いが可能です。
イメージとしては、日本の銀行口座の窓口でドル、円、ユーロ紙幣をまとめて自分の口座に入金することができる感じです。
さらに、wiseでは1アカウントに対して複数の口座情報を割り当てることができます。
難しい表現なのでざっくり噛み砕くと、wiseのアカウントは使用目的に合わせて、様々な国の銀行口座に変身することができるということです。
割当が可能な口座情報は以下の国のものとなります。
- 欧州連合(EU)ユーロ
- 米ドル
- 英ポンド
- 豪ドル
- ニュージーランド・ドル
- シンガポール・ドル
- ルーマニア・レイ
- カナダ・ドル
- ハンガリー・フォリント
- トルコ・リラ
自分のwiseアカウントに、それぞれの国の口座情報を紐づければ、wiseアカウントはアメリカの銀行口座にも、イギリスの銀行口座にも、ユーロ圏内の国の口座にもなり得るということです。
これは他の銀行口座ではできません。
だからwiseはドイツでも正式な銀行口座として使用することができるのです。
wiseもカード発行は有料。でもデビットカードだから発行する価値はある
wiseは口座開設費・維持費ともに完全無料ということを紹介してきましたが、N26 Standard同様、カードは有料での発行となります。
wiseのカード発行手数料は1,200円。これだけ。
もちろんカードの維持費等は一切かからない上、デビットカードのため口座残高分までクレジットカードのように使用することができます。
また、国際ブランドも選ぶことができ、wiseではVISAかMasterCardの二択。どちらか好きな方を選ぶことが可能です。
さらにさらに、EU加盟国やアメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの住所でアカウント開設を行っている場合、Apple PayまたはGoogle Payにwiseデビットカードを紐づけることができ、支払い時にコンタクトレス決済が使えます!
(残念ながら、日本の住所でwiseアカウントを開設した場合、Apple Pay・Google Payは現状利用できません。)
まとめ
今回はドイツ国内で開設できる、無条件で口座開設費・維持費無料の銀行口座であるN26 Standardとwiseを紹介してきました。
N26はドイツ国内にある銀行なので、ドイツ在住者のみが対象となりますが、wiseはドイツ在住かどうかは関係なく、どこにいても口座開設が可能なためおすすめです。
また、wiseなら1アカウントで複数の国の口座情報を紐づけすることができるので、他国へ引っ越しや転勤があった場合や、日本へ帰国する際の日本円への換金・送金方法としても使うことができます!
wiseアカウントは複数通貨をまとめて管理できますので、日本帰国となった場合でも、一度にすべての外貨を日本円に両替する必要もありません。
欲しいときに必要な分だけ両替する。それ以外は外貨のままwise口座で貯金。
こんなことも可能なのがwiseです。
筆者なっしゅもwiseアカウントを長年利用しています。
通常の銀行では難しい複数通貨の管理をまとめてできるので、
wiseをおすすめします。
もちろんアカウント開設は無料です。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
コメント
コメント一覧 (4件)
こんにちは。
ミュンヘンに急に赴任することになり、銀行口座開設情報を探していて、こちらのブログにたどり着きました。
今回は留学ではなく仕事ですが、1989-1991年にミュンヘンに留学していたので、ミュンヘン在住は二度目になります(年齢がバレてしまいますが笑)。
前回はBayerische Vereinsbank の口座でしたが、今回はおすすめのComdirect、N26、Wise あたりにしようかと思っています。
有益な情報を、どうもありがとうございました!
当ブログ記事をお読みいただきありがとうございます。
少しでもお力になれたのであればこれほど嬉しいことはありません!
これから始まるミュンヘンでの生活がより良いものになること願っております。
はじめまして
2023年10月より長期留学(1年間)の為、ドイツにて生活を始めたものです
90日以上滞在の学生ビザ申請の為にも、閉鎖口座残高証明と、それを使用するために普通口座を開設したいのですが
閉鎖口座はexpatrioにて開設・送金済ですが
普通口座をN26でと考えておりましたが、今年の7月くらいから本人確認が変更になったようで、パスポートは不可・IDカードはないの?ResidenceRermitが必要と言われ、ビデオ通話をすぐに切られてしまいます
他行では、comdirectでも本人確認ができず(韓国からの留学生は開設できました)
PostBankでもダメでした
とにかく、一日も早く普通口座を開設しないことには、閉鎖口座からドイツでの生活資金が引き出せないので、大変困っております
そこで、お聞きしたい事ですが
当方、wiseのアカウントは持っているのですが、こちはら
・N26やcomdirectのような銀行と同じように使用できるのでしょうか?
(大学の履修登録の際、銀行口座のIBANを入力するため、単なる送金システムでは不可なんです)
・そもそも、閉鎖口座に紐づけできるのでしょうか?
・wiseは一か月に保有できる金額に上限があると読んだ覚えがあります。
ドイツの閉鎖口座から、毎月934€振り込まれますが、大丈夫なんでしょうか?
わかりづらくて申し訳ありません
※ドイツにて知り合った日本人達は、皆、N26は開設できてないのが現状です
コメントありがとうございます。
滞在許可証申請のために銀行口座が必要であるということは経験したことがないためわかりませんが、通常は滞在許可がおりてから銀行口座開設となる気もします。
お住まいの自治体によっても異なる可能性がありますので、滞在許可申請にドイツの銀行口座が必要かどうか、Ausländerbehörde等に確認してみるのも手かもしれません。
口座開設の際に行われる本人確認(Legitimation)はオンラインでも可能なものがあり、基本的に(日本人を含む)外国人はパスポートでの審査となるため、パスポートが不可能なことはまずないと思います。
実際、滞在許可証のカードが使えないことがあっても、パスポートが断られることはまず珍しいので、担当者の理解不足だった可能性もあります。
最後にwiseに関してですが、wiseのEUR口座にはIBANが割り当てられるため、EUR決済は他の普通口座と同じように行うことが可能です。
閉鎖口座というものがよくわからないので説明がうまくできませんが、通常、wiseの口座宛に送金をすることは上記の通りIBANがあるので問題なくできます。
口座残高の上限については聞いたことがありませんが、10万EUR単位ではそういった制限はあるかもしれません。これは普通預金口座にも言えることです。
毎月1000EUR程度であれば問題ないと考えます。