ほぼ全ての学生にとって避けては通れない道、就職。
私の場合も例に漏れず大学卒業後は企業への就職を選びました。
卒業後に一企業へ就職という道を選ぶことは最も一般的な進路の一つであると思いますが、私の場合は少し珍しいかもしれません。
というのも、私が卒業したのは放送大学で、新卒就職の勤務先はドイツだからです。
放送大学といえば、通信制の大学として日本で最も歴史が長く知られている大学だと思いますが、
大学進学を目指す高校生や学生にとって第一志望となる大学ではないことは明らかです。
そして通信制大学というと世間のイメージはお世辞にも良いとは言えません。
ネット上で通信制の大学の評判を調べるとちょっと悲しくなるような意見も多いのが現状ですね…。
しかし!大事なことなので先に伝えておきます。
通信制大学卒業でも海外就職は可能です。
私が放送大学卒業後に新卒就職した企業は、日系自動車サプライヤーとして最大手のドイツ支社です。
この経験から、放送大学、もしくは他の通信制大学の卒業であっても海外新卒採用、大手企業への就職は可能であると断言します。
この記事では、日本の通信制大学から海外新卒就職(大手企業)をどうやって達成したのかを、私の実際の経験を基に紹介します。
海外就職を目指している方、海外就職に興味のある方、通信制大学卒業後の進路を今考えている方の一つの参考になればと思います!
なぜ放送大学を選んだのか
まずはじめに、なぜ私が放送大学を選んだのかを少しだけ。
私は高校卒業後、日本の大学へ入学しましたが1年後に中退しドイツの大学へ入学しました。
さらっとこんなこと書いていて、この時点でハーフか何かと思われるかもしれませんが、
私は100%日本人で、帰国子女でもなんでもありません。
ただ外国語が好きでその中でも特にドイツ語を(独学で)勉強をしていただけです。
海外経験も高校生になるまでは全く無く、初めて日本を出たのは高校の海外交流プログラムでアメリカへ1週間。これだけです。
なっしゅ(私)の略歴に興味のある方はプロフィールからどうぞ!
でも海外生活への憧れは当時から強く、大学は海外で!と強い目標を持っていました。
こうして目標を達成すべくドイツの大学へ進学しました。
留学を開始してから1年後、入学したドイツの大学を辞めます。理由はただ一つ、違う分野を専攻したくなったからです。
その大学では社会学を専攻していたのですが、副専攻でとっていた経済学のほうが面白くなってしまい転学を実行しました。
しかしここで最大級の問題に直面します。この転学計画が不運にも頓挫します。
それでもなんとかドイツで勉学を続けたくて、ドイツの大学への進学は断念。代わりに職業訓練(Ausbildung)を始めます。
職業訓練(Ausbildung)について詳しくはこちら!
しかし大学卒業というのは今後の人生でも必要だと感じ、ドイツにいながら自分のやりたい分野を学ぶことができる大学を探していたときに見つけたのが、放送大学です。
こうしてドイツで職業訓練を続けながら放送大学生としての勉強もはじめました。
通信制大学+αでスキルと経験を磨く
私が放送大学に入学するまでの話が長くなってしまいました。
さてここからは、通信制大学から新卒就職を目指す上でとても重要なことを紹介していきます。
通信制大学卒だけでは足りない
見出しにもあるように、通信制大学に在学し卒業するだけでは、単位と学位だけを取得するだけで終わってしまいます。
出席する必要もほぼなく、すべての課題や授業をひたすら自分だけで進めていく通信制大学のカリキュラムをただ実践するだけでは、「社会的な経験値」が足りません。
もちろん通常の全日制大学でも、ただただ受動的に大学のカリキュラムを行うだけでは通信制大学のそれと何ら変わりはありませんが、大学生活を通して人とのコネクションは少なからず生まれます。
担当の教官やゼミの仲間、留学生との交流や企業からの説明会など、こういったものは通信制大学では自分で行動を起こさない限りほぼ何も得られません。
自ら進んで行動して、他の学生やライバルに負けない、そして彼らをはるかに上回る+αを身につけることが重要です。
そしてこれを実践する上で最強とも言える強みが、通信制大学にはあります。
そうです。”場所と時間の自由”です。
通信制大学最大の利点、「場所と時間の自由」を極限まで活かす
通信制大学で最も自由が効くものといえば、「時間と場所」です。
毎日決められた時間に講義に出席する必要もなく、ネット環境さえあればどこからでも勉強をすることができます。
私は放送大学生としてドイツから講義を受けていました。というのも、日中は職業訓練の専門学校と職場での仕事があるので昼間に講義を受けることはできませんでした。
とはいっても、リアルタイムで講義があるわけでもなく、大学の授業は毎学期手に入る教科書と講義の動画または音声データで進めるため問題はありません。
そもそもリアルタイム講義であった場合、ドイツからは時差の関係でほぼ不可能でしょう。
ここまでですでに気づいた方もいるかも知れませんが、私は通信制大学+αとして、ドイツでの職業訓練を選びました。
ドイツで社会経験を積みながら実際のビジネス環境でドイツ語や労働文化を深く学び、その傍ら放送大学で学士号を目指すというスタイルです。
これも全て、通信制大学最大の利点、「場所と時間の自由」を極限まで生かした結果だと思っています。
またドイツでは、大卒はあくまで採用の一条件という扱いの場合が多いので、通信制大学から海外新卒就職を目指すのであれば、通信制大学+αのこのαの部分に積極的に取り組むことが大切です。
要約するとドイツ(もしくは他の国)では、大学名よりも、学生の時に積んできた実績と経験が大切ということになります。
通信制大学であろうが全日制の大学であろうが、大学システムの違いはドイツではそこまで重要視されません。
重要なのは、「何を経験してきたか」です。
海外新卒就職を目指すにはその国での経験が必須
さて、通信制大学+αを実践することが海外新卒就職を実現するために重要だということを説明してきました。
ここからはもう一歩踏み込んで、採用へ有利に働く+αについて紹介していきます。
通信制大学+αで鍵を握るのは、あなたが選んだ+αが将来希望するポジションの方向性やキャラクターに合致しているかが特に重要です。
また、海外の特定の国で就職を望んでいる場合、その国での経験や実績は採用プロセスの際とても強い武器となります。
これは必然といえばそれまでなのですが、もし自分が外国人を採用するとして、その候補者が日本語を流暢に話せてそのポジションでの経験や実績がある場合、その候補者に対する期待値は大きく上がるはずです。
このことから、就職希望の国、欲を言えばその国で就職希望のポジションと同等の分野にて経験を積むことが採用プロセスにおける最強の武器となります。
しかしながら、新卒を目指す大学生に海外で経験を積むための長期的な時間はあまりありません。
でも、通信制大学であればこれも可能です。
私の場合はすでにドイツで職業訓練を始めていて、現地に身をおいていたので選択の余地はありませんでしたが、海外就職の目標があり、卒業までにある程度時間があるのであれば、目標の国へ行って「経験値集め」を始めることをおすすめします。
では実際に目標の国で通信制大学+αをするベストな方法を紹介します。
通信制大学+αでは希望職種での長期インターンシップが最強
見出しにもあるように、あなたがもし海外で学生のうちから経験値集めを行うのであれば、長期インターンシップを強くおすすめします。
できることなら、希望する分野の企業で、希望する職種やポジションで長期インターンシップを行うことがベストです。
ドイツに1週間程度の短期インターンシップはほとんどありません。理由は、たった1週間程度では経験が得られないからです。
ドイツのインターンシップは基本的に2ヶ月から半年程度の長期インターンシップが主流で、しっかりと賃金が発生します。
そして無事にインターンシップを修了した場合、その企業の責任者から今後の採用面接やプロセスで大きな力を発揮する推薦状と修了証明書が発行されます。
この修了証明書が本採用の面接と同等のポジションや分野でのインターンシップから得られたものであれば、その力は絶大です。
さらにこの証明書類を最強クラスまでレベルを上げるためにあと一つ必要なこと、それは知名度の高い企業でインターンシップをする。ということです。
もはやこれ以上強い推薦状は無いと言えるでしょう。パッと見て、あなたの推薦状に大企業の名前があれば、採用面接時にかなり信頼されます。
海外で長期インターンシップの経歴があり、その国における労働文化や言葉に対する理解がそれなりに証明できたとすれば、
それがたとえ日本の通信制大学であったとしても、大学名なんて見向きもされません。
そもそもドイツ人は日本の大学名なんてほとんど知りません。なのでなおさら経験や実績の方を重視する傾向があります。
さいごに
日本の通信制大学卒業でも、海外新卒就職は可能であることをお伝えしてきました。
最も大切なことは、通信制大学+αとして、どこまでこのαを高めることができるかです。
私はドイツでの職業訓練を2年半で修了し、その後放送大学卒業までの期間中に日本とドイツ両方で長期インターンシップを計3社経験しました。
ドイツで自動車関連企業への就職を目標にしていたので、インターンシップはすべて自動車関連で行いました。こういった軸ブレのない企業選択も今後のキャリア形成の上で重要なことだと今も感じています。
さらに、自動車関連と言えど自動車業界は裾野がとても広いです。
そのため、インターンシップを経験した3社はそれぞれ、ドイツ商用車メーカー、ドイツ乗用車メーカー、日系自動車部品サプライヤーと、業界における一通り大きな括りはすべて経験しました。
自分の興味のある特定の業界を中心に経験を積むことで、その業界へ足を踏み入れるための壁を極力低くすることが可能です。
これも全て、通信制大学に通っていたからできた技です。
もちろんこういった情報はネットにはなく、すべて自分で計画して賭けのように歩んできました。だからこそこの経験が、志望していたドイツでの就職という形で実を結んだときのあの感情は今でも忘れられません。
大切なことなので最後にもう一度。通信制大学からでも海外新卒就職&大手企業への就職は可能です。ただし、通信制大学+αのαで何を極めたかによって左右されます。
通信制大学の取り組み方は無限大です。“時間と場所の自由”がもたらす最大のチャンスを上手く活用すれば必ず結果が出ます。
諦めずに挑戦して、他の人とは違う個性的な経験を積んで、理想の進路を極めてください!
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!
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