ドイツで初めて飲んだビールはSPATENだった、なっしゅです。
6大ミュンヘンビールの一つとして名を馳せているSPATEN(シュパーテン)。
ミュンヘンで初めてヘレス(Helles)タイプのラガービールを世に送り出したブランドです。
醸造所自体の歴史も長く、現存する醸造所の中でも最も古い部類の一つでもあります。
ミュンヘンビールの他の醸造所が様々な種類のビールを造る中、なんとSPATENはヘレスのみを造り続けています。
”ミュンヘン初のヘレス”を生み出したSPATENならではのこだわりです。
それではSPATENのビールを紹介していきたいと思います!
SPATEN(シュパーテン)の基本情報
ヘレス(これしかない)
もうすでに上で言っちゃいましたが、SPATENはヘレスしか製造していません。
(とはいっても明確には、FRANZISKANERが同一企業のため、実際には白ビールも製造しているのですが、SPATENとしてはヘレスのみです。)
このシンプルな背景に赤い鋤(すき)のマークが目を引きます。
ちなみにSpatenは日本語で”鋤”です。農作業で土を耕したり根を切ったりするあれです。
澄んだ黄金色に輝くこのビールが、ミュンヘンで初めて登場したヘレスです。
”元祖ヘレス”というだけあり、味は非常にシンプル。ヘレスの典型的な味である、ホップの香りを抑えたのどごしの良いビールです。
良い意味で無骨というか、変に味が調整されていない、ザ・ヘレスという感じです。
今でこそミュンヒナー(=ミュンヘンの人々)にはAUGUSTINERなどがより愛されていますが、元祖本来のヘレスを楽しみたい場合には、SPATENを選ぶことをおすすめします!
ヘレスの他にも、秋限定のオクトーバーフェストビールと、アルコールフリービールもあります。
まあ、どちらもヘレスベースなので、種類としてはやはりヘレスのみですね。
ちなみに、オクトーバーフェストの開会式はSPATENのオクトーバーフェストビールを使用しています!
SPATENの歴史を軽く振り返る
SPATENの誕生は遅くても1397年と言われています。
当時のミュンヘン市の税務管理帳に初めて醸造所として登場したことが由来です。
しかしながらその当時から醸造所の持ち主は幾度と変わり、SPATENという名前になったのは1622年。Spatt一家によって醸造所が運営されていた時となります。
その後も醸造所の所有者は変わりましたが、SPATENという名前は変わることなく引き継がれます。
時は進み1807年、公営大手醸造所HOFBRÄU(ホフブロイ)のマイスター、SedlmayrによってSPATENは買収されます。
この当時のSPATENはミュンヘンで最小の醸造所でした。
こうやって見てみると、ミュンヘンのビールの歴史は現存するいろいろな醸造所が関わっています。興味深い…。
しかしこのSedlmayr一家による買収と努力により、SPATENは急速に成長を遂げます。
1851年に現在もSPATENの醸造所として残るMarsstraßeに生産設備を移転、大拡張を開始します。
1861年にはFRANZISKANER醸造所の株式を取得。1867年の時点でミュンヘン最小の醸造所から、最大の醸造所へと変貌を遂げました。
また、同年に開催されたパリ世界万博では、ドイツの醸造所では唯一のビール部門における金メダルを授与されています。
そして1894年、SPATENはミュンヘン初となるヘレスを世に送り出しました。
背景としては、北ドイツ地方におけるピルスナーの爆発的流行があります。
当時ミュンヘンはまだ、今でいうDunkles Bier(デュンケルビール=濃いビール)の生産地として知られていました。
(黒ビールとは全くの別物です。)
もちろん、ミュンヘンで消費されていたビールもまたデュンケルが圧倒的な割合を占めていました。
ここで、ミュンヘンから北ドイツへ輸出するためのビールとして開発されたのが、ヘレスです。
当時、重厚かつ甘みがしっかりとしているデュンケルが一般的であったミュンヘンで、軽い口あたりの中に昔ながらのミュンヘンビールがしっかりと生きている革新的なビールであったヘレスは、文句なしに大ヒットします。
ミュンヒナーヘレス(Münchner Helles)誕生の瞬間です。
その後2度の世界大戦が勃発。
特に第二次世界大戦では、他のミュンヘンの醸造所と同じく、連合軍の爆撃に遭います。
SPATENも例にもれず、生産施設の大半が壊滅します。
しかし戦後すぐに復興し、1950年にはヨーロッパ諸国を含む世界へと輸出が開始されます。
1992年には年間生産量1億リットルを達成。
1997年の創業600年を期に、6大ミュンヘンビール醸造所の一つ、LÖWENBRÄUと合併します。
その後、2003年にベルギーの世界的ビール製造グループの前身であるInterbrewへ売却。
現在はアンハイザー・ブッシュ・インベブの一部として世界中にSPATEN、FRANZISKANER、LÖWENBRÄUブランドのビールを供給しています。
ちなみに、資本が外資(ドイツから見た)になっても、製造は現在でもミュンヘンで伝統を継承しつつ行われています。
まとめ
いかがでしたか?
ミュンヘンで600年以上続いている醸造所が、今では世界的ビール企業の一部になっているなんて驚きです…。
でもこのおかげもあって、SPATENをはじめとするグループブランドのミュンヘンビールは日本でも目にする機会が多いです。
(LÖWENBRÄUは2018年にアサヒビールとのライセンス生産が終了となったため、現在は韓国からの輸入品販売となっています。)
元祖ミュンヒナーヘレスのSPATEN、是非一度ご賞味ください!
ラガービールを楽しむのに最適なグラスはこちら!私が撮影に使っているものと同じグラスです!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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