前回に続いて、今回もミュンヘンのクラフトビールの紹介をします。
前回のビール紹介はこちら。
今回紹介するのは、フルーティーな味わいが特徴的なクラフトビールブランド、Tilmanbiere(ティルマンスビーレ)が造る白ビール、Tilmansbiere Der Weizenです。
白ビールのクラフトビールというところがドイツらしくて面白いですが、更に興味深いのがなんとこのビール、ボトル発酵(Flaschengärung)にて醸造されているところです。
詳しくは以下で紹介していきます。
それではTilmansbiere Der Weizenを見ていきましょう!
Tilmansbiere Der Weizenの紹介
生産地
Tilmansbiereは、ミュンヘン出身のビール醸造家であるTilman Ludwig氏が2014年に創設した新進気鋭のビールブランドです。
自社醸造所は所有しておらず、老舗醸造所と提携して醸造を行っています。
Tilmansbiereは2つの醸造所を生産パートナーとしているようで、一つはミュンヘンの南東に位置するローゼンハイム(Rosenheim)近郊にあるBrauerei Gut Forsting醸造所です。
そしてもう一つはローゼンハイムからさらに東へ行ったところにあるトラウンシュタイン(Traunstein)近郊にあるWeissbräu Schwendl醸造所で造られています。
今回紹介しているTilmansbiere Der Weizenは後者の、トラウンシュタイン(Traunstein)近郊にあるWeissbräu Schwendl醸造所で生産されています。
これらの醸造所の設備を利用して創業者兼醸造家であるTilman Ludwig氏自身が醸造を行っています。
ビール自体はミュンヘンの外で生産されていますが、Tilmanbiereブランドはミュンヘンのクラフトビール屋さんなので、ミュンヘン発のクラフトビールとして紹介します。
ボトル発酵とは
冒頭で少し触れましたが、Tilmansbiere Der Weizenはボトル発酵(Flaschengärung)という、ビール醸造では珍しい発酵方法を用いて生産されています。
ご存じの方も多いとは思いますが、ビールには大きく分けて3つの発酵方法があります。
発酵に用いるビール酵母の種類によって発酵の方法が変わり、これによりビールの種類が分かれます。
・醸造タンクの上部(液面)で酵母の発酵を進めるタイプ。酵母が沈まず液面に残る。
・エール、白ビール(Weißbier/Weizen)、スタウトなどが上面発酵ビールの代表格。
・醸造タンクの下部(底面)で酵母の発酵を進めるタイプ。酵母自体が沈む。
・ピルスナーやヘレスなどのラガービールが下面発酵ビールの代表格。
・空気中に存在する天然酵母を用いて発酵を進めるタイプ。
・あまり種類はないが、有名なのはベルギービールの一種であるランビック(Lambic)。
これらすべての発酵は基本的に醸造タンクや樽の中で行われますが、ボトル発酵とはその名の通り、タンクや樽を用いずにボトルの中で発酵を行うことを意味します。
Tilmansbiere Der Weizenは白ビールなので、発酵の種類としては上面発酵であると思いますが、
これを醸造タンクでは行わず、1次発酵後にボトリングを済ませ、2次発酵はボトルの中で進めます。
ボトル発酵で生産される有名な酒類は主にスパークリングワインやシャンパンです。
発酵の管理が難しいことと、大量生産に不向きのためビール醸造ではメジャーな方法ではありません。
ボトル発酵ビールとして有名なのはベルギービールの一つであるグースビール(Gueuze)です。
クラフトビールのように大量生産向けではない個人醸造家であるからこそできる生産方法で、とても興味深いです。
Tilmansbiere Der Weizenの見た目
ビール自体の色はとても明るい黄色です。白ビールなので透明度は低く濁っています。
グラスに注いでいるときからクラフトビールらしさ全開で、ホップの華やかかつフルーティーな香りが鼻をくすぐります。
ヘレスやピルス、ペールエールなどをベースにした様々な種類のクラフトビールを造っているTilmansbiereのそのボトルデザインは特徴的で、その種類によって異なるデザインが施されています。
(Tilmansbiereの他銘柄は順次紹介していきます!お楽しみに!)
Der Weizen(白ビール)のボトルにはオリエンタル感溢れる虎のデザインが描かれています。
なんとも強そうなデザインです。
そして下の方には、”Schnurrt, kratzt & beisst”(唸って、引っ掻いて、噛み付く)となんとも攻撃的な言葉が書いてありますが、果たしてどんな味のビールなのでしょうか…。
それでは飲んでみましょう。
Tilmansbiere Der Weizenの味
クラフトビールの要とも言えるその特徴的なホップ感が織りなす香り、そしてそのボトルデザインと攻撃的な文言から、非常に独特な苦味や香り、スパイシーさを想像していましたが、Tilmansbiere Der Weizenは驚くほどフルーティーで飲みやすいです。
グレープフルーツのようなみずみずしい柑橘系の味わいが特徴で、すっきりとした口当たりと後味はもはや小麦を主原料とした白ビールではないかのような爽やかさです。
小麦によるまろやかさがホップの苦味をさらに打ち消して、柑橘系の華やかな香りがより一層強調されているようにも感じます。
よく考えてみればTilmansbiere Der Weizenの見た目は明るい黄色で、もはやこれはグレープフルーツジュースのような感じです。(もちろんグレープフルーツ果汁は入っていません。)
すべてホップの香りのみで表現されているこの柑橘系の香りと風味ですが、ホップ特有の苦味も全く感じられず、飲み終えた後にその爽やかなグレープフルーツ感が最高のキレをもたらします。
Tilmansbiere Der Weizenは後味さっぱり。苦味なし。とても軽快な口当たりが特徴で、6%のアルコールが入っていることさえ忘れるほどです。
もっと言ってしまえば、小麦とモルトの重厚感溢れる風味が特徴の白ビールというより、柑橘系の果汁を混ぜたミックスビールやビアカクテルのような印象が強いです。
恐らくこの柑橘系のフルーティーは、上で紹介したボトル発酵による賜物なのかもしれません。
ビールなのだけれどもどこか白ワインのようなキャラクターも味わうことができる、とても奥が深いビールです。
正直この味には驚きました。
クラフトビールといえばIPAなどを代表とする、ホップ感強めでその華やかな香りの中にある苦味を楽しむものであると思いこんでいたため、ホップのみの香りでここまでフルーティーに仕上がるものだとは思ってもいなかったからです。感動しました。
ビールの世界は追求していくととても奥が深く勉強になります。
Tilmansbiere Der Weizen ビールレポート
ビールカテゴリー – Bierstil | 白ビール |
アルコール度数 – Alkoholgehalt | 6.0% |
麦汁比重 – Stammwürze | 13.5% |
発酵種類 – Gärung | 上面発酵(ボトル発酵) |
カロリー(100ml) – Brennwert | – |
原材料 – Zutaten | 水・大麦・小麦・ホップ・酵母 |
ボトル発酵によって醸造されるTilmansbiere Der Weizenは、ホップが生み出す柑橘系のフルーティーさが特徴の白ビールです。
アルコール度数は6.0%ですが、そのすっきりとした飲み心地からはアルコールの強さはそこまで感じません。(ということはある意味キケンな飲み物である。)
白ビールだと思って飲んでみると、その期待を良い意味で裏切るビールです。
モルトと小麦のコク、そして芳醇な”バナナ感”が特徴である通常の白ビールのキャラクターとは一線を画し、さっぱり爽やか、グレープフルーツジュースのようなみずみずしい味わいです。
そんな新しいビール体験を楽しむことができるTilmansbiere Der Weizenは、とにかくフルーティーで苦味のない白ビールで、ビールの味を苦手としてビールを敬遠している方には必ず飲んでみていただきたいビールの一つです!ワイン派の方にもおすすめです!
まとめ
Tilmansbiere Der Weizenは、グレープフルーツのようなその斬新な風味と香りで新たなビアライフを体験できるクラフトビールです。
白ビールとは思えないそのすっきり感と、苦味のない爽やかさに一度飲んだら病みつきになること間違いなしです!
珍しいクラフトビールなだけに、ドイツに住んでいてもスーパー等で購入することはまず難しいと思うので、購入はオンラインがベストです。
以下のリンク(Tilmansbiere オフィシャルサイト)から、取扱店を検索することができるので覗いてみてください。
白ビール(Weißbier)の芳醇な香りを楽しめるおすすめのグラスはこちら!
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!
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