今回はオーストリアビールを紹介するなっしゅです。
ドイツの南側に位置するアルプスの国オーストリア。
東西に長い国土を有していますが、特にその東側地域、ドイツに近い地域ではビール醸造が盛んに行われています。
ザルツブルク(Salzburg)は歴史的にもドイツやバイエルン州との結びつきが多く、文化的にとても似ている地域です。
今回紹介するザルツブルク産のビール、Stiegl(シュティーグル)は、ザルツブルクを代表するビールとして地元で多くの人に愛されています。
Stieglの造るビールの中で最もメジャーなビールの一つがGoldbräu(ゴールドブロイ)です。
オーストリアで多く醸造されているメルツェンタイプ(Märzen)のビールです。
以前紹介したZipfer(ツィプファー)のほうがオーストリア国内で全国的に有名なビールという感じがしますが、Stieglもそれなりに見かけることができます。
(とはいってもオーストリアに住んでいないのであくまで遊びに行った時の感想です。)
Zipferについて詳しくはこちら!
それではStieglのGoldbräuを紹介していきます!
Stiegl Goldbräuの紹介
生産地
Stiegl Goldbräu(シュティーグルゴールドブロイ)はザルツブルク市内の醸造所で生産されています。
ザルツブルクはドイツ、ミュンヘンからおよそ130キロ。オーストリアの首都ウィーンからは300キロ程度離れています。
地理的にドイツと国境を接していて、なおかつ歴史的にもドイツと関わりが深いこともあって、ザルツブルクではほぼドイツと変わらない文化が形成されています。
ザルツブルクへ行っても国外へ出た感じはほとんどありません。笑
言葉も一緒(しかも同じバイエルン訛り)、通貨もユーロ。
異なるのはナンバープレートくらいでしょうか。笑
Stieglの歴史
記録に残っているStiegl醸造所の最も古い創業年は1492年です。
当時はまだStieglという名前ではなく、“Haus Bey der Stiegen”(階段のそばの醸造所)という名前でした。醸造所のすぐそばに階段があったことからこの名がつけられたと考えられています。
現在でもStieglブランドのロゴは階段マークとなっています。
1650年までには、ザルツブルクで最も大きな醸造所となります。
当時市内には12の民間醸造所がありましたが、Stiegl醸造所は17世紀当時すでに年間10万リットルほどのビールを醸造しており、この時代にしてはダントツのビール生産量を誇っています。
ザルツブルクといえば、あの天才音楽家であるモーツァルト生誕の地として有名です。
1780年、モーツァルト自身もStieglのビールを飲んでいたことが記録に残っています。
その後、ナポレオン軍の侵略を受けたザルツブルクですが、このときStieglはザルツブルク要塞地下の貯蔵庫を購入します。
現在この施設はStieglkellerとしてビアホールになっています。
その後Stiegl醸造所は火災に見舞われたり2度の世界大戦を経験しますが復興を成し遂げます。
2009年には大台の年間1億リットルの生産量に達し、2017年には創業525年を迎えました。
Stiegl Goldbräuの見た目
Stiegl Goldbräuはオーストリアで愛されているメルツェンタイプ(Märzen)のビールです。
代表的なメルツェンといえばオクトーバーフェストビールです。
南ドイツで多く生産されているヘレス(Helles)と比較すると色は若干濃いめで、ピルスナーのそれに近い色合いをしています。
下面発酵のラガービール(Lagerbier)のため泡立ちは良いですがすぐ消えます。
グラスに注いでいるときからモルトの香りがふんわりと漂います。
Stiegl Goldbräuの味
メルツェンということもあって、モルトのコク重視でホップ感はそこまで強くありません。
特徴的なのはすっきり感です。モルトのコクと甘味が際立つ風味のあとにクリアなキレを感じることができます。
通常メルツェンやヘレスはモルトの香ばしく重厚なコクや甘みが長く広がっていく感じの味を特徴としていますが、Stiegl Goldbräuの後味はさっぱりとしていて、その淡白なキレと味わいが特徴的です。
ラストにはホップの爽やかな香りがふんわりと広がり舌の上に残りますが、モルト由来の優しい香りが勝っているので苦味はほとんど感じません。
炭酸も若干控えめで、口当たりがとても優しく飲みやすいビールです。
Stiegl Goldbräu ビールレポート
ビール好きの筆者なっしゅによるStiegl Goldbräuの独断レビューです。
ビールカテゴリー – Bierstil | メルツェン(Märzen) |
アルコール度数 – Alkoholgehalt | 5.0% |
麦汁比重 – Stammwürze | 12.0% |
発酵種類 – Gärung | 下面発酵 |
カロリー(100ml) – Brennwert | 180 kJ / 43 kcal |
原材料 – Zutaten | 水・大麦・ホップ・酵母 |
Stiegl Goldbräuはその優しいホップの香りとモルトのコクが特徴的なビールです。
飲んだ後に感じられるすっきり感は素晴らしく、コク、甘みとキレが両立されています。
アルコール度数は5.0%と標準的な強さです。
炭酸も控えめで口当たりもよく、苦味も少ないのでホップの苦味が苦手という方にもおすすめできるビールです。
まとめ
オーストリア産ビールといえばメルツェンタイプ(Märzen)が主流で、強めのホップ感とコクが特徴的なビールですが、Stiegl Goldbräuはホップ感を若干抑える代わりにモルトの甘味を最大限に引き出したビールです。
そのコクと甘みを残しつつ、後味のすっきり感とキレを両立した味は、地元ザルツブルクの人に愛されている大きな理由の一つだと思います。
オーストリア国外で見かけることはほぼ無いですが、探せばあるかもしれません。
オーストリアへお越しの方はぜひ一度試してみてください!
メルツェンを含むラガービールを楽しむのに最適なグラスはこちら!
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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