こんにちは。なっしゅです。
今日のバイエルンでは、ラガービールの一種であるヘレス(Helles)が最も愛されているビールとなっていますが、小麦を原料として上面発酵で造られる白ビール(Weißbier/Weizen)もバイエルンを代表するビールの一つでもあります。
そんな白ビールを専門的に作り続ける醸造所が、Schneider Weisse(シュナイダーヴァイセ)です。
ミュンヘン創業のSchneider Weisseは今日でも様々な種類の白ビールを造っていて、それぞれの種類に”TAP”という形で番号が割り振られています。
今回はSchneider Weisseが造る最も基本的な白ビールである”TAP07”のOriginal Weissbier(オリジナルヴァイスビア)を紹介していきます!
Schneider Weisse Original Weissbier (TAP07)の紹介
バイエルン最古の白ビール醸造所
まず始めに、Schneider Weisseがバイエルン最古の白ビール醸造所を”運営している”という紹介からスタートしていきましょう。
Schneider Weisse(シュナイダーヴァイセ)の創業は1872年です。これはバイエルンにおける醸造所の歴史としては比較的浅い部類です。
しかしながらSchneider Weisseのボトルにはこう書いてあります。
“Aus Bayerns ältester Weissbierbrauerei”(バイエルン最古の白ビール醸造所で生産)
ドイツ語がわかる方でも、ぱっと見てこれはバイエルンで一番古い白ビール醸造所のものだ!と考えると思います。
でもおかしなことに、バイエルンにおける白ビールの歴史はもちろんこれよりもずっと前から存在しています。
なにせあの有名なビール純粋令”Reinheitsgebot”が制定された背景にあるのも白ビールなのですから。
ビール大好き女子いむらさんのブログでその背景について面白く紹介されています!
ではなぜ1872年創業のSchneider Weisseがバイエルン最古の醸造所といわれているのか。
答えは簡単。
Schneider Weisseがバイエルン最古の醸造所を使って生産を始めたからです。
1928年にSchneider Weisseはバイエルン最古の醸造所を取得します。
歴史が無いなら取り込んで自分のものにする…というと聞こえが悪いかも知れませんが、これも立派なビジネスです。笑
Schneider Weisseはあくまで自身が”バイエルン最古の白ビール醸造所”だと名乗るのではなく、バイエルン最古の白ビール醸造所で”生産”していると書いています。
まあ、1872年創業で”バイエルン最古の醸造所”と謳っていたらすぐバレますしね。笑
それでは、そんなバイエルン最古の醸造所は一体どこにあるのでしょうか。
生産地
Schneider Weisse創業の地は紛れもなくミュンヘンです。
それもミュンヘン市街地のど真ん中、新市庁舎(Neues Rathaus)やあの有名なHofbräuhaus(ホフブロイハウス)から歩いてすぐのところです。
ミュンヘンをご存じの方ならきっと一度は目の前を通ったことがある通り沿いにあります。
現在でも本社機能はミュンヘンにあり、ビアホールとしても現役です。
ではなぜ生産拠点を変更したのでしょうか。
Schneider Weisseはもともとここミュンヘンで醸造もしていましたが、場所はミュンヘンのど真ん中です。第2次世界対戦の空爆で当時の醸造所はすべて破壊されてしまいました。
そこで戦後復活を果たすべく新たな生産拠点として白羽の矢が立ったのが、ミュンヘンから北に行ったRegensburg(レーゲンスブルク)近郊の町、Kelheim(ケールハイム)です。
…聞き覚えのある町の名前。
Kelheimが登場するのは初めてではありません。以前他の記事で紹介をしています。
そうです。世界最古の修道院醸造所である、Weltenburger Kloster(ヴェルテンブルガー)もKelheimでビールを醸造しています。
Weltenburger Klosterについて詳しくはこちら!
とはいってもWeltenburger KlosterとSchneider Weisseはまったくもって別の醸造所です。
Schneider Weisseは戦後、KelheimにあったWeisses Bräuhaus Kelheimという醸造所で生産拡張を行っています。
そしてこのWeisses Bräuhaus Kelheimの創業が1607年。バイエルン最古の白ビール醸造所です。
この醸造所で生産しているからSchneider Weisseの白ビールは”バイエルン最古の醸造所で生産”ということなっているのです。
それにしてもドイツ人は本当に”△△初”や”○○最古”といった表現が好きみたいです。
マーケティング効果でもあるのでしょうか?笑
さて、Schneider Weisseの醸造所紹介が長くなってしまいましたが、ここからはSchneider Weisse Original Weissbier (TAP07)の紹介をしていきます!
Schneider Weisse Original Weissbier (TAP07)の見た目
全体的にかなり濃い目の色合いです。
この色の濃さであればもはやDunkel(ドゥンケル)にカテゴライズされても間違いではないくらい濃い色をしています。
そしてグラスに注いだ瞬間から熟した果物、またはバナナのような芳醇な香りがふわっと広がります。
しかし注ぎ終える頃にはモルトの重厚感ある香りに変化していきます。
炭酸は割と強めでグラスの中を漂う気泡が見た目に華を添えています。
では実際に飲んでみましょう。
Schneider Weisse Original Weissbier (TAP07)の味
一口目から白ビールの特徴である芳醇な果実のような香り、いわゆるバナナのような香りが鼻に抜けます。
しかしながら注いでいる時の香りと同様に、徐々にモルトの重厚感ある味わいへと変化し、モルトのコクと甘味を楽しむことができます。
そして適度に強めな炭酸が心地よいのどごしと爽快感を生み出します。
ラストにかけて芳醇な甘い香りとモルトの香ばしさが混ざり合って程よい苦味となりゆっくりと引いていきます。
始めの一口、二口目では、多少アルコール感が気にはなりますが、熟した果物のような香りと相まって決して不自然ではありません。
飲み続けるにつれて鼻が香りに慣れてきて、白ビール独特の香りとモルトの香ばしさを存分に楽しむことができるビールです。
Schneider Weisse Original Weissbier (TAP07) ビールレポート
ビール好きなっしゅによるSchneider Weisse Original Weissbier (TAP07)の独断レビューです。
ビールカテゴリー – Bierstil | 白ビール |
アルコール度数 – Alkoholgehalt | 5.4% |
麦汁比重 – Stammwürze | 12.8% |
発酵種類 – Gärung | 上面発酵 |
カロリー(100ml) – Brennwert | 175 kJ / 42 kcal |
原材料 – Zutaten | 水・小麦・大麦・ホップ・酵母 |
数値でみるとなんと、Weihenstephaner Hefe Weissbier(ヴァイエンシュテファナーへーフェヴァイスビア)とほぼ同じです。
アルコール度数は5.4%で同じ。
麦汁の比重も0.01%違い。(Weihenstephaner Hefe Weissbierは12.7%)
もちろん同じ上面発酵の白ビールでカロリーも同じ42kcal。
でも色を見れば違いは一目瞭然です。
この色の濃さからもわかるように、モルトの香ばしさやコクは圧倒的にSchneider Weisse Original Weissbier (TAP07)のほうが上です。
コクのある濃厚な味を楽しみたい場合はSchneider Weisse Original Weissbier (TAP07)をおすすめします。
まとめ
Schneider Weisse Original Weissbier (TAP07)は、白ビールの特徴である芳醇な香りが強めですが、モルトの香ばしさもしっかりと楽しめ、後味にビターな香ばしさが続く贅沢なビールです。
風味が強力なのでキレや爽快感はそこまで無く、フルボディで濃厚な味わいを楽しみたいときに最適なビールです。
また泡も白ビールによくある典型的なふわふわ泡で、香りもついているため、味も香りも楽しむことができます。
Schneider Weisseのビールは日本にも輸出されていて、入手することが比較的簡単なため、見かけた際はぜひ一度お試しください!
白ビール専門であるSchneider Weisseは様々な種類の白ビールを展開しているので、飲み比べてみるのもおもしろいかもしれません。
白ビール(Weißbier/Weizen)を楽しむためのおすすめのグラスはこちら!
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!
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