ミュンヘンっ子といえばこのビール、AUGUSTINER (アウグスティーナー)
友人と集まって飲む、BBQをする、宅飲み…ほぼすべての場面で圧倒的に目にする機会が多いビール、AUGUSTINER (アウグスティーナー )。
茶色のびんと緑色のロゴ。それにおじさんのマークが印象的なAUGUSTINERは、ミュンヘンで最も愛されているビールの一つと言っても過言ではありません。
統計とかをみて販売数がこうだから…とかいう研究は全くしていませんが、AUGUSTINERがミュンヘンで最も人気があるビールだということは、住んでいればきっと感じると思います。
まずAUGUSTINERを取り扱っていないスーパーはほぼありません。路上で飲んでいる人の片手にも、買い物カートの上に箱で載っているのも、道端に捨ててある空きびんも…
ほとんどの確率でAUGUSTINERです。
ミュンヘンの街なかでは、ポケモンでいうポッポとかコラッタ並に遭遇します。笑
そんなミュンヘンっ子御用達のビールを詳しく紹介していきたいと思います!
AUGUSTINER (アウグスティーナー) の基本情報
AUGUSTINERは、季節ものを含めて全8種類のビールを醸造しています。
Lagerbier Hell
最もメジャーなのが”Lagerbier Hell”。ヘレスタイプのラガービールです。
ミュンヘンといえば、下面発酵のラガータイプのヘレスがスタンダード。その中でもダントツNo.1がこれ!
透き通った薄金色のビールをグラスに注いだ時の幸せは何物にも代え難い最高の瞬間です…
もちろんボトルから直接飲むのもOK!ミュンヘンっ子はみんなそうしています。笑
アルコール度数は5.2%。
Edelstoff
お次は”Edelstoff”です。
”高貴な材料”とでも訳したらいいのか…笑
エーデルシュトッフと読みます。このビールはExport Bierの一種です。
エクスポート(輸出)と聞くと、なんだか国外輸出用のビールなのかな?と思ってしまいますが、実は違います。
輸出していたことには変わりありませんが、その当時、飛行機も大型輸送船もない頃のExportです。
ある地域から他の地域まで”輸出”していたビールにこの名前が付いています。
こちらも下面発酵ラガータイプです。
では何が違うのか。
Export Bierはすでに説明した通り、輸出するビールにつけられた名前です。昔むかし、馬車で輸出をするのには長い時間がかかりました。
長時間の輸送にも耐えられるように、アルコール度数を高めたものがExportになります。
上面発酵のエールビールと比べ、これは下面発酵タイプのラガービールにおける大きな強みでした。
また一説によると、輸出先で薄めて飲むことの多かった当時、高アルコールで醸造したほうが運ぶのにも効率的という理由もあったそうです。
これがExport Bierの由来であり、違いでもあります。
現在では輸送も短時間で行え、冷蔵も可能なので、もはや名前しか残っていません。
しまいには世界的なピルスナー人気の影になってしまい、今ではあまり聞かれない種類となってしまいましたが、ミュンヘンでは現在でも愛されているビールの一つです。
Exportにはこういった背景があります。
ミュンヘン以外では、ドルトムントのビールがExportとして有名です。
トリビアとして飲み会で自慢してください。これであなたのあだ名は”エクスポートビアマイスター”です。
アルコール度数は5.6% 。(やっぱりちょっと高め。)
Weißbier
下面発酵のラガータイプのビールしか作ってないと思ったら大間違い!笑
しっかりとWeißbier、いわゆる白ビールも生産しています。
でもやっぱり、PAULANERの白ビールや、同じくミュンヘンの白ビール専門メーカー、SCHNEIDER WEIßE、ミュンヘン郊外にある町、Erdingで生産されているERDINGER WEIßBIERと比べると知名度は低いです。
スーパーでもあまり見かけることがないので、お求めの方は飲料品専門店へ!
もしくは直営のビアホールでも飲むことができます。
アルコール度数は5.4%。
Pils
AUGUSTINERはPilsnerも販売しています。
そうです。ピルスナーです。短く”ピルス”と呼ぶのも一般的です。
ホップ独特の香りが鼻を抜ける、フルーティーなタイプです。
ミュンヘンを含むバイエルン地方ではピルスナーはメジャーではありませんが、世界的にはやはりピルスナータイプが非常に多いです。
下面発酵のビールと言えばまず、ピルスナーが上がること間違いないでしょう。上面発酵のエールビール、下面発酵のピルスナーです。
ビールの種類やタイプの詳細はこちら!(近日公開予定…)
こちらも普通のスーパー等ではあまり見かけません。
「0.33Lしか入ってないビールなんて小さすぎて足りねえよ。最低でも0.5L、なんなら1Lジョッキもってこい。それがビールってもんだ。」
っていう人もいるバイエルンではスタンダードではないです。笑
(そんなこと言ったらケルシュは0.2L。)
でも、味は逸品。上品にホップの香りを楽しむのであれば、ピルスナーは外せません!
長年の歴史ある醸造所が造るピルスナー、ぜひ一度お試しください。
こちらも直営のビアホール等で飲むことができます。
その他の種類
- Oktoberfestbier (Alc. 6.3%) オクトーバーフェスト用の例のあれです。
- Heller Bock (Alc. 7.5%) Starkbierと呼ばれる、濃いめ&強めビールです。
- Maximator (Alc. 7.5%) 冬季に寝かせ長期発酵させ、春先に出てくる季節もの強ビールです。
- Dunkel (Alc. 5.6%) ヘレスやピルスナーとくらべて暗い色をしたビール。
これら季節ものや変わり種は近いうちに紹介していきたいと思います!
AUGUSTINERの歴史を軽く振り返る
Augustinerの歴史は時を遡ることおよそ700年、14世紀初頭に幕を開けます。
1320年頃、遅くとも1328年に、当時ミュンヘンの城壁の近くにあった修道院、Augustinerkircheにてビールの醸造が始まります。
修道士たちがここで手掛けたこのビールが、現在のAugustinerの原型です。
AUGUSTINERのビールびんにも、
”Gegründet 1328 – Älteste Brauerei Münchens”(1328年創業。ミュンヘン最古の醸造所)
としっかり書いてあります。最高の広告です。
Augustinerはミュンヘンにおける最古の醸造所であり、当時ここで生産されていたビールはヴィッテルスバッハ公爵らに提供されていました。
1589年に時の公爵、バイエルン公ヴィルヘルム5世が自らの醸造所の建設を指示し、完成するまでの間、公爵一族の御用達ビールでした。
ちなみに、バイエルン公ヴィルヘルム5世によって新たに作られたこの公営の醸造者が、6大ミュンヘンビールの一つである、HOFBRÄU “ホフブロイ”です。
16世紀は、ビールの歴史において非常に重要な時期でした。
ドイツビールといえば有名なあれ。
”Reinheitsgebot”
そうです。ビール純粋令です。
「水、ホップ、麦芽、酵母だけしかビール醸造には使っちゃだめよ。」っていうやつです。
この純粋令が発布されたのも16世紀初頭、1516年のことです。
HOFBRÄUを設立したヴィルヘルム5世の祖父、ヴィルヘルム4世がビール純粋令を制定しました。
こうやって見てみると、公爵一族が自らのビール醸造所を設立した背景もなんとなく理解できる気がします。
時は進み時代は教会等の信仰施設の”世俗化”が進み、AUGUSTINERを醸造していた修道院も1803年、ついには州のものとなり、公営化します。
1817年に醸造所部分が民営化し、現在のAUGUSTINERビールの生産体制の礎が築かれました。
民営化直後の本社があった場所は、現在のミュンヘン中心部、マリエンプラッツとカールスプラッツを結ぶ歩行者天国エリアの真ん中あたりです。
現在はAugustiner Stammhausとして、醸造所直営のビアホールとして営業しています。
その後、生産拡張のための工場移転、2度の世界大戦における爆撃による戦災等、幾多の出来事を経て、AUGUSTINERは現在もその認められた歴史の長さと品質をもって、現代ミュンヘンっ子の喉の乾きを潤し続けています。
また、2013年には創業の建物であるAugustinerkircheの一角にAugustiner Klosterwirtとして直営店をオープン。AUGUSTINERの起源の場所で再びビールを飲むことが可能です。なかなか素敵。
ちなみにここ、ミュンヘン旧市街地で最も高さのあるFrauenkircheの真向かいです。五感全てでミュンヘンとそのビールの歴史を感じることができる場所です。
まとめ
いかがでしたか?AUGUSTINERはミュンヘンにおけるビールの歴史そのものと言っても過言ではないビールの一つです。
日本国内で楽しめる機会は非常に限られているところが残念ではありますが、機会があればぜひ一度、いろいろな種類を飲み比べてみてはいかがでしょうか?
ミュンヘンといえばAUGUSTINER!ミュンヘンにお越しの際はぜひ一度ご賞味ください!
専用のグラスで飲んだら美味しさもアップ!ヘレス用のおすすめグラスはこちら!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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