ミュンヘンの飲食店やバーなどで多く採用されていて、もちろん日本へも輸出されている世界的に有名なミュンヘンビール、PAULANER(パウラナー)。
地元ミュンヘンでは圧倒的にヘレス(Helles)タイプのビールが飲まれていますが、他のドイツの地域や世界ではPAULANERのヴァイスビア(Weißbier=白ビール)がより有名な感じがします。
実際、日本各地でここ最近催されているオクトーバーフェストを見ていても、PAULANERといえば白ビールとして販売されていることがほとんどです。
きっと日本ではヘレスの知名度が低いこと、白ビール専用の背の高いあのグラスがドイツビールっぽいところ…
そして何より、白ビールの芳醇で口当たりの良い風味が白ビールの人気を高めているのだと思います。
PAULANERは白ビールを世界で最も販売しているミュンヘンのビールメーカーです。
世界で初めてアルコールフリーの白ビールを生み出したのもPAULANERです。
…と、話が白ビールに方向へ脱線してしまいました。
それでは知名度No.1ミュンヘンビール、PAULANERを紹介していきたいと思います!
PAULANERの基本情報
白ビール
PAULANERの白ビールといえば、世界中で販売されている、PAULANERの顔ともいえるビールです。
もちろん日本でも、大きなスーパーや黄色い某大手ディスカウントショップで見かけることが最近多い気がします。
ドイツ国内に限らず、世界中で愛されているのがこのPAULANER Weißbierです。
濃厚芳醇な小麦由来の香りに、フルーティーな味わいが特徴的です。
日本のオクトーバーフェストとかではよく、「バナナのような風味」と表現されています。
私は今までバナナ風味だとは思ったことがないのですが、そう言われると確かにそんな気もする…。笑
この白ビールは”Naturtrüb”といい、ボトリングする際に酵母の濾過を行わないことが特徴です。
びんの底やグラスの底に沈殿している白い”濁り”は、その酵母由来のものです。
日本国内でも手に入りやすいドイツビールのひとつなので、是非見かけたらお試しください!
ヘレス
もはや説明をする必要のないぐらい、ミュンヘンでは定番中の定番ビール!
ミュンヘン市中のレストラン等でも数多く取り扱われていて、遭遇率は非常に高いです。
迷ったらこれ。爽やかな喉越しで軽い口あたり。ごくごく飲めます、
”One of the most famous beers in Munich.”といえば欠かすことのできない、ヘレスタイプのPAULANERです。
ミックスビール
上の画像はPAULANER Weißbier-Zitrone、要するに白ビールのレモネード割(画像左)と、
PAULANER Natur Radler、ヘレスのレモネード割 (画像右)です。
ヘレスのレモネード割はRadler(ラドラー)、最近日本にもありますよね。
そして白ビールのレモネード割はバイエルンでは”Russ”または”Russ’n”(”ルス”=ロシア人)と呼ばれています。
なぜ”ロシア人”と呼ばれるようになったのか…。
気になった方はこちらをどうぞ!(近日公開予定…)
アルコールフリー
PAULANERはノンアルコールの白ビールを、世界で初めて造り出したメーカーです。
上記ミックスビールのところにも画像がありますが、ヘレス、白ビール、ミックスビールの各種類にアルコールフリー版があります。
Salvator Doppelbockなどにアルコールフリーはありません。あれは強いアルコールに由来する力強い味わいを楽しむものですから。笑
季節もの
季節ものとしては春先に市場に出回るPAULANER Salvator Doppelbock(上の画像)や、オクトーバーフェストで振る舞われるPAULANER Oktoberfestbier(下の画像)があります。
ともにアルコール度数は標準のヘレスよりも高く、オクトーバーフェストビールは6.0%、Salvator Doppelbockに至っては、7.9%のアルコール度数となっています。
たかが1%や2%と思って油断していると、瞬く間に酔っぱらいます。(経験者は語る。)
PAULANERの歴史を軽く振り返る
ミュンヘンの修道院であるNeudeck ob der Auの修道士たちは、1516年に制定された”ビール純粋令”を忠実に守りながら、アルコールの高い強めのビール、”Salvator”を修道院内で自分たちが消費するために醸造を始めます。
PAULANERの歴史は”PAULANER SALVATOR”から始まったということです。
修道院内で消費しきれなかったビールは、修道院内で販売したり、貧しい人々へ振る舞われていました。
その後ミュンヘンにおける人口の拡大につれて、街中でのビールの消費量も拡大していきます。
1600年頃までにミュンヘンには74の一般市民による醸造所と、6つの修道院による醸造所が存在していました。
競合が多いと問題が発生するのは、今も昔も変わりません。
1634年2月24日、一般の醸造所(現代の組合みたいなものがあったかは知らない。)がミュンヘン市議会に修道院のビール醸造及び販売を禁止させる訴えを提出します。
しかしこの謀略ともいえる運動は失敗に終わり、その後も修道院はビールの醸造を続けてきました。
このとき市議会に提出された文書に、PAULANERが醸造所として明記されたことから、1634年2月24日がPAULANERの創立日とされています。
時が経ち宗教施設等の世俗化の動きが進み、PAULANERも修道院の経営から市民による経営へと引き継がれます。1806年、Franz Xaver Zacherlによって醸造所は買収され、近代化と生産設備の拡張が行われました。
1818年、PAULANERは初めてオクトーバーフェストに自前のビール小屋とともに出店します。
ちなみに、今日におけるあの有名なオクトーバーフェストは、1810年のバイエルン王ルートヴィヒ1世の結婚式を祝うために行われた競馬大会が由来です。
1881年には、さらなる技術革新が導入されます。
Carl von Linde社製の最新式製氷機が生産設備に導入され、一年を通してビールの醸造が可能となります。
それまでのビールの醸造は、基本的に寒い季節に寝かして発酵させるというのが大前提でした。
特に下面発酵のラガービールは、摂氏5℃程度の低温で熟成させることが肝なので、製氷機によって冷蔵環境が通年使用できるということは、ビールの歴史において大革新であったといえるでしょう。
そして混迷の時代である20世紀前半、2度の世界大戦によって醸造所も少なからずダメージを被ります。
PAULANERの醸造所も1944年の爆撃により、大半の生産施設が破壊されました。
戦後、1950年までにすべての復旧が完了し、今日までPAULANERの歴史は途切れることなく続いています。
そしてPAULANERが味わえるおすすめのビアガーデンはここ!
SEEHAUS im Englischen Garten
Englischer Garten(英国庭園)内の水辺にある、ビアガーデン併設のレストランです。
緑に囲まれて飲むビールは格別。
まとめ
PAULANERはヘレスや白ビール以外にも、爽やかな味付けなグレープフルーツミックスの白ビール、ラドラーもラインナップの揃えていて、誰にでも愛されているブランドということは間違いないでしょう!
0.0%完全アルコールフリーの白ビールもあり、場所や機会を選ばずに楽しめるのも特徴です。
全種類味見をするには相当な時間がかかると思いますが、是非トライしてみてください!笑
これだけの種類があれば、きっとお気に入りのビールが見つかるでしょう。
日本にもPAULANER Weißbierは販売されているところがありますので、普段とは違うビールを楽しみたいときには最良の選択となること間違いなし!
筆者おすすめのビールグラスはこちら!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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